「――ごちそうさまでしたぁ!」
お昼ご飯を食べ終わると、リョウくんはとても元気になった。ご飯を食べたことが理由なのかどうかはわからないが。
「食えねえこともなかったな」
でもって幼馴染のゼストは腹立つ。ペロリと完食しといて何だその言い方は。全部食べるくらいなら、おいしかったと素直に言えばいいのに。
「私片付けしてくるから、ゼストはリョウくんの相手お願いね」
きっとリョウくんはまた遊びたいと言い出すだろう。かくれんぼしたい、なんて再び言われてしまっては困る。
幼馴染以外の誰かに認識されているというこの状況が幸せすぎる。そしてそれは、私にとっては当たり前なことではない。貴重すぎる時間。だからこそ、今の状況に慣れてしまってはいけない。とりあえず一人になりたかった。
「……………………」
――――――――。
午後2時を少し過ぎた頃。再びキッチン。
リョウくんのいないそこは、とてつもなく静かだった。普段ならここは、この『家』に住むみんなに忘れられて私一人でご飯を食べる場所。
でも、今日からのたった三日間だけは違う。さっきはリョウくんとご飯を作った。いつもなら飛び交うことのない会話だって存在した。自分で選んだこの状況さえ、この上なく切ない。そう思うと、“一人でいる”ということはとても寂しい。
静かな足音が、私の後ろを通過する。そしてそれは流し台の隣にある冷蔵庫へと手を伸ばす。
――ほらやっぱり。私の“当たり前”は、こういうことなんだ。
ゴッッ!!
「いたっ」
今ものっそい音がした! 今私の頭(しかもさっき怪我をしたばかりの頭です!)に何か激突した! ていうか激突された!
「あー悪い。見えなかった」
「あんた絶対わざとでしょ!」
犯人は……まあ、言うまでもなくどこぞのバカな幼馴染。そしてその棒読み。丸わかりだボケ!
「私今怪我してるんだからさ、あんまり頭に衝撃与えないでくれる?」
「お前常日頃から頭怪我してんだろ」
「そーいう意味じゃないわバカヤロー! ていうか常に怪我してんのお前ェェェ!」
そもそもこの包帯巻いたのお前だろ! 俺は知りませんけど的なわざとらしい態度やめろ。いかにもすぎて余計に腹立つわ!
「冗談だろ。笑って流せよ」
いやあんたの場合、冗談だとしても冗談に聞こえないから。



