誰にも見えないその影を




「もういいかーい」


再び投げかけられた声。今度は黙っていた。


こんな近くで声に出せば、位置がわかってしまうからだ。


誰も返事をしなければ、それは「もういいよ」のサインである。


「じゃ、探しに行くからね!」


鬼役の子がそう言った。


――私、すぐ見つかっちゃうんだろうなー……。


体育座りをして、なるべく顔が見えないように顔を腕の中に隠した。