しばらくしてお目当てのものを見つけたのか、彼は小声で「よし」と少し満足気に言ってこちらに歩み寄ってきた。
そしておとなしく待っていた私の目の前にいきなり座ったかと思えば、「右腕出せ」の一言。
「え、ちょっと何なのホント」
「いいから。出せっつってんだろ」
突然すぎる出来事に戸惑っている私を見かねたのか、半ば強引に私の右腕を掴んでぐいっと自分の方に寄せた。
じっとしてろよ、とこれまた小さな声で言ったかと思えば、慣れた手つきで右腕に湿布を貼って真っ白な包帯を巻いていく。
それはもう、あっという間だった。



