誰にも見えないその影を




* * *



「もういいかーい」


当時9歳だった私は、その日友達と一緒に空き地で遊んでいた。


その遊びというのは、さっきの言葉からわかるように『かくれんぼ』である。


じゃんけんで勝った人が隠れ、負けた一人が鬼。


私は隠れる方になったため、その空き地内で身を隠すことができそうな場所を探していた。


「まーだだよ」


みんなはもういい場所を見つけたのだろうか。


そんなことを思いながら、まだ隠れることができていない私はそう返した。