それにも関わらず、全員がこの部屋を通る。
ドアを閉めていても状況は変わることなく、何も気にせずにドアを開けてここの住人たちが通っていくのである。
私がその部屋にいてもいなくても、彼らはそれを気にかけようともしない。
そして今も、いつものようにこの『家』に住む年上の三人組の男たちがズカズカと部屋に入り、そのまま通り過ぎようとしている。
「いや~昨日のドラマ最高だったな」
「あんな美人が彼女だったら俺このまま死んでもいいわー!」
「お前バカ? あんな完璧な美女、いるわけねーだろ。妄想の中で付き合ってろ」
なんて、内容から考えて明らかに恋愛ドラマの感想を各々言い合っている。
いい歳して情けない発言である(ただし最後の一人を除く)。



