「おい」 その声は、どしゃ降りの雨の中でも不思議とはっきり聞こえた。 「こんな雨の中お前はいつまで遊んでんだ。絶対バカだろ」 あ、バカは風邪引かないから別にいいか、と私を貶しているのか独り言を呟いているのかもわからないそいつは、暗い闇のせいで顔こそは見えなかったが、 「え……?」 憎まれ口をたたくというか人を完全にバカにするというか、とにかくこんな口調で話す人物は明らかに私の幼馴染――『彼』だった。