「最近、ほんとロクでもない仕事ばっかだったなー……」
リョウくんという無邪気で元気でときどきうざい少年が帰ってから、早いものでもう二週間以上が過ぎた。冗談ではなくて、アレは本当にとんでもない仕事だった。
忘れてる方も多いと思うんだけれども、私たちこれでも探偵ですからね。まあ振り返ってみれば探偵らしい仕事なんてあの気持ちの悪い浮気調査や誘拐された男の子の捜索及び救助くらいしかしていなくて、しかもそれはほとんどゼストが証拠集めだなんだとやってくれたから私は何もしていないと言ってしまっても過言ではないのだけれど。
この二週間はというとですね、まあそれなりに探偵らしい仕事はしていましたよ、はい。かいつまんで話すとですねー、なんか近所でヤンチャな少年たちが夜もうるさくて眠れないからどうにかしてくれだとか、殺人事件が起こったけれども謎だらけだから情報収集をもとに一緒に推理して解決してくれだとか、まあそんな感じです。
まあうちにはアスタさんという普段はド天然だけど割と頭のキレる人がいるからそう時間をかけずにどれも簡単に解決してしまったのだけれど。
でも私が引き受けた――というよりは押し付けられてしまった仕事は、探偵とはほど遠いもので、二週間前の子守だのどこかに行ってしまった猫を探せだの、私の立場って何なのみたいなものばかりだった。どれもこれもゼストのせいだ。これで私、探偵と名乗っちゃっていいのかしらとなんだか申し訳なくなってくる。……ゼストのせいで。
でも、なんだか最近は少しずつだけどみんなから認識されているような気がする。「お前もいたのか」という言葉を聞くことが少なくなったのだ。ゼストが関わっているとはいえ私にも自然と仕事を任せてもらえるということはそういうことなのだろう。……まあ私から声をかけないと気づいてもらえない状況は相変わらずなんだけど。
それにしても不思議なものだ。ここ数日で「お前もいたのか」発言がすっかり減ってしまった。激減である。
減ったということは私だって自分の影の薄さを改めて何度も認識させられることがその分なくなったということだし、まあそれはいいことでもあるのだけれど……。そんな短期間で私に対するみんなの認識が一気に変わってしまうとも思えない。
一体何がきっかけになっているのだろう。ここ数日の間に、一体みんなに何があったのだろう。
知らないのは私だけ……か。