「――で、あのガキんちょは?」
いとも簡単に見つかってしまった私は、ゼストと並んでリョウくんを探していた。
「知らないよ。たとえ知ってても言ったらかくれんぼの意味ないじゃん」
「お前の場合は言っても無意味だけどな」
「ねえ一発殴っていい?」
お前隠れんの下手すぎ、と彼。いや下手じゃねーし! むしろ超上手いし! 誰にも認識されない私を見つけるお前のスピードが早すぎるだけだし! 異常なのお前だし!
まあでも、と何か意味ありげな様子で言葉を紡ぎ続ける彼。また何かうざいこと言い出したら今度こそ一発二発殴ってやろうと身構えていると、
「――瞬殺っつったろ」
「…………!」
……なんてこった。あれは私に――私だけに向けられた言葉だったのか。だとすればとんでもない殺し文句だよコレ。こいつはいちいち反則すぎるよ。事あるごとに私を嬉しくさせるんだから。重罪ですよ、ほんと。
「……あーもう。早くリョウくん見つけるよ。隠れっぱなしにさせちゃ可哀想でしょ」
「だからガキんちょよりお前を先に見つけてやったんだろ」
くっそ……。だからそれをさらりと言うなっての! こっちの調子が狂うから!
「……もういいから! 早く行くよ」
「つれねえな。泣いてたくせに」
「……だから汗だっつってんでしょ。お願いだから黙ってて」
「いや、いくらなんでも黙る必要なくね?」
「調子が狂うから黙れって言ってんの!」
きっとこの一言がいけなかったのだと思う。
「へぇー。そりゃどーいう意味だ」
例によってにやにやとした顔で愉しそうに尋ねてきたそいつは、もう悪魔にしか見えない。魔王という表現でもいいくらいかもしれない。毎度のことながら自分が元凶とはいえ、こういうパターンに持っていくのはお願いだからやめてほしい。そんなお願いがこいつに通じるわけがないのだけれど。
折れてしまった方が賢明だということくらいはさすがの私にもちゃんとわかっている。
「……それだけ好きだってことくらい分かれよバカ」
「上出来」
さっきの笑みとはまた違って今度は満足気な笑顔を浮かべて、そいつは優しく私の頭の上に手を置いた。……まったく、これだから言いたくなかったんだ。頭を撫でられたという、たったこれだけのことに満足してしまうことにも、難しい理由はいらない。まあ、本人にはもう絶対に言ってやんないけど。



