午後8時半。




私は家を出る。





うちの両親は共に夜の仕事なのでこの時間は私一人。





私は小声で行ってきますをし、家を出た。





私の家から佑樹の塾まで徒歩20分。





佑樹の家から塾までは30分。





私の家から佑樹の家まで10分。





会いたい時に会えるんだ。





すると後ろから





「角田!」





私の名前を呼んだのは





「おぉっ」





雄大だった。





「丁度良かった。今から佑樹だろ?」





「あ、うん」





「ならこれ、アイツに渡しといて」





そう言って私に渡してきたのは塾らしき書類だった。






「うんっ、いよー」





「おう、なら頼むな」





そう言って雄大はまた戻って行った。





今は11月。





ほんの少し、肌寒くなってきた。





もうすぐ冬になる。





クリスマス、佑樹と過ごしたいな





なんちゃって。





そんな日はまだ来ないな。





佑樹の態度を見れば分かる。






私には適当っていうか、冷たいって言うか。




佑樹は私のことが嫌いなんだ。





でも私はそんなの構わない。






好きなのは変わらないから。