翌朝。

梨花は薫がまだ眠っている事を確認して、いくつかメールのやり取りをした。

メールを終えて、梨花は薫の寝顔を見つめた。

かなりお酒を飲んでいたが、薫は夕べの事を覚えているだろうか?

過去の恋の話を聞いた時には、薫がどれほど傷付いたのかと思うと、つらくて胸が痛かった。

それでも志信のまっすぐな想いに触れて、やっと一歩前へと踏み出す気持ちになれた薫を、心から応援したいと梨花は思う。

本当は魔法なんて必要ないのはわかっている。

だけど少しでもそれで薫が自信を持って志信の胸に飛び込めるのなら、力になりたい。


新入社員の頃、慣れないSSの仕事に馴染めず仕事に悩んでいた梨花を、薫はどんな時も冷静に誰よりも優しく支えてくれた。

カウンセラーの役割と言えばそれまでなのかも知れないが、真剣に悩みを聞き、それを受け入れ励ましてくれた薫は、梨花にとって大きな心の支えだった。