君に恋していいですか?

志信は残念そうに手を離すと、薫の顔をイタズラっぽい目で覗き込んだ。

「泣いてる卯月さん、かわいかったのに。」

「やめてよ、もう…。」

照れ臭そうに目をそらす薫を思いっきり抱きしめたい衝動にかられながら、志信は苦笑いをした。

(仕方ないか…。オレは“ただの同期”だもんな…。恋人ならこんな時、遠慮なく抱きしめたりできたんだろうな…。)



それから近くの居酒屋に入った二人は、たくさんの料理を注文して、ジョッキに並々と注がれたハイボールで乾杯した。

「ふぅ…美味しい。」

「それは良かった。」

まるで何事もなかったかのように他愛もない話をして、笑いながら料理を口に運び、浴びるようにハイボールを飲んだ。