日輪花の涙

レイが1人になるのを見計らって、声をかけた。

「レイ。」

「キリトくん?」

手招きをすると、ゆっくりと近づいてきた。

「今日、梓の家に行かないか?」

「えっ!?行ってもいいの?」

「会える保証はないんだけどね。」

梓には今だ会えてない。

レイが行ったからといって、会える保証はない。

「今日の放課後…」

「何コソコソしてんの。」

思わず血の気が引いた。

ゆっくりと後ろを向くと、輝が立っていた。

その顔はニコニコと笑っているが、どこか恐ろしい。

「お前が…「ちょっと待って!」…レイ?」

突然大きな声をあげるレイ。

「私、輝くんに言いたいことがあって…。」

その声は震えている。

輝の事が恐ろしいんだろう。

輝の束縛はひどいものだからな。

「私達、本当に付き合ってたの?」

「そうだけど。急になに?」

「私、そんな気がしないの。」

輝は言葉を詰まらせた。

「私の心、きっと違う所にあるの。だから…」

「だから別れるっていうのか!?」

輝はいきなり大きな声をあげる。

レイはビクッとなった。

「輝!」

「お前は黙ってろ!」

「なんだと!お前、なんでそんな風になっちゃったんだよ。」

「うるさい!レイ!別れるなんて許さないぞ!」

「レイ、こんな奴の言うこと聞くことないからな?」

レイは黙った。

きっと考えているんだろう。

しばらくして、レイは口を開いた。

「ごめんなさい。やっぱり私…」

「レイ……」

輝は困惑している。

冷や汗をかき、膝から倒れた。

「嘘だろ。レイ。」

「ごめんね。でも、自分に正直にいきたいの。」

レイは一礼してから、行こうと言ってきた。

あの状態の輝はほおっておけなかったが、どうしようもない。

自分で立ち直るのを待つしかない。