そろそろ教室戻らなきゃ・・・・・あっ!
階段を上がってくる黄瀬さんと目が合った。
そういえば黄瀬さんにも謝らなきゃ。
「黄瀬さんおはよっ!海行った時はごめん・・・・・ね・・・・・?」
「・・・・・」
返事する事もなくあたしを通り過ぎる黄瀬さん。
聞こえてなかった・・・のかな?
「黄瀬さんっ!」
さすがに聞こえるよね・・・。
黄瀬さんはゆっくりあたしに振り向いた。
「あのっ、海行った時はごめんね?心配かけちゃって。」
だけど黄瀬さんからは、
思いがけない言葉が返ってきた。
「心配?してないけど。」
え・・・・・?
吐き捨てる様な言い方で、
あたしを見る目も冷たいのが見てとれる。
「あたしが心配?してないから。迷惑よ迷惑。」
「・・・・・黄瀬・・・さん?」
いきなりの事に頭が追い付かなくて、
あたしは聞き返すので精一杯だった。
「勘違いしてない?あたしあなたと仲良くしたくて行ったんじゃないから。友達気取りやめてよね?」
黄瀬さんは言うだけ言って、
愁ちゃんがいる教室に入っていった。
"迷惑よ迷惑"
"友達気取りやめてよね"
あたしの頭の中で何回も再生された。
しばらくそこから動けなくて、
楽しそうに話す黄瀬さんと愁ちゃんの姿を見た。
校内に開始を告げるチャイムが鳴り響いて、
あたしはようやくそこから動いた。
頭が真っ白だった。
これからの生活に胸騒ぎがした。