ラストボーイ






親父の転勤が終わって、
日本に帰れる事になった。


ずっとこの日を待ってた。





四年前、空港で見た芽生の最後の顔。


泣きてぇのに無理矢理笑って俺を送り出した芽生。


肩震わしながらあいつ笑ったんだ。






「愁ちゃんいってらっしゃい。」







あん時の芽生の顔を、
四年間忘れた事なんてない。



あんな顔をさせた自分と、
側にいてやれなかった四年間悔しくて悔しくて、
あいつの事を考えなかった日なんてなかった。





でも今日芽生に会える。




「愁、芽生ちゃんによろしくね?」





「あぁ、伝えとくよ!」





俺は新しい制服に身を包み芽生がいる学校に向かった。




やっぱ向こうの学校のがでけぇな。


担任に言われるがまま教室に案内された。





この扉の向こうに会いたかった奴がいる。


俺は勢いよく扉を開けた。





・・・がいない。
芽生がいない。




どうやらこのクラスではないらしい。
先走った自分が恥ずかしい。


軽い自己紹介を済ませ俺は席に着いた。




HRが終わると、
クラスの奴等の質問攻めに合った。





「わり。俺ちょっとトイレ」





軽く交わして教室を出ようとした時だった。




びぇ!!






俺の胸に衝突した金づち頭。


おでこを抑えながら俺の顔を見上げるこいつ。





俺が見間違える訳はなくて、
そこにいるのは確かに芽生で、
最後に会った芽生とは遥かに大人びてて、
なにより可愛かった。





「芽生?」





目をパチクリさせながら、
抱き着いてきた芽生はやっぱり変わってないらしい。





俺の制服に顔をくしゃくしゃあてながら、
両手は完全に俺の背中。


誰がどう見ても勘違いするシチュエーション。






小さな手。

華奢な体。白い肌。大きな目。


栗色の腰まである長くて綺麗な髪。




嬉しそうに笑う芽生。
俺の大好きな芽生が目の前にいる。



抱きしめてやりたい衝動をぐっと堪えて、
俺は芽生の親友に挨拶をした。






あいつは気付いてないけど、
俺はずっと芽生が好きだった。


あいつからしたら俺はただの幼馴染みで、
俺からしたら芽生はひとりの女で。





ためらいもなく抱き着いてくる芽生に、
自分の理性を制御するのに結構苦労がいる。



無邪気に笑ってる芽生を今はこうして目の前で見ていられる事で満足かも。





一緒に帰る約束をして、
俺は芽生と懐かしい道を並んで歩いた。




俺がいなかった四年、
なにかあったかと聞いたけど、
正直聞きたいのは男がいたかいないか。





もちろん心配もあったけど。
今はそれが聞きたかった。





「男って彼氏とか?ないないっ!好きな人も出来ないっ!」





すっげー安心。

でも寄ってくる男はいるだろうな。


だってこいつまじ可愛いし、
なんかほっとけないし天然だし。





でも好きな人も男もいないって聞いて、
俺はすっげー上機嫌だった。


もちろん芽生には見せないけど。