「なーに」
「う、ううんっ、何でもない!」
突然愁ちゃんの目線が落ちたかと思ったら、
あたしの足元を見てため息をついた。
「靴は?」
「履くの忘れちゃった。」
「ったく。怪我してるじゃん」
こんなの大した事ないのに、
愁ちゃんはしゃがんであたしの足を心配そうに見た。
「ん。乗って」
お、おんぶって‥‥、
この歳になってする訳ないでしょっ!?!
「大丈夫だからっ!歩ける!」
「無理、早く」
愁ちゃんは頑固だから、
あたしがいくら断っても聞かない。
あたしは渋々愁ちゃんの背中に乗った。
前なら緊張なんかしなかったのに、
今はこうして少し距離が近いだけでドキドキする。
あたし本当に愁ちゃんに恋してるんだ。
「愁ちゃん、好き。」
「ん?なに?」
「ううん、何もないよ。ありがと。」
これだけ不幸が続いたら、
きっと次は幸せがくると思ってた。
神様は乗り越えられる試練しか与えない。
昔誰かから聞いた事がある。
これはあたしに与えられた試練。
きっとこれを越えたらあたしは幸せになれる。
世界中の誰よりも幸せに。
そうなる事を願って、
愁ちゃんを掴む腕に力を入れた。

