愁ちゃんが言い終わる前に、
あたしの右手は反射的に愁ちゃんの頬を叩いた後だった。
「‥‥ひどいよ‥‥‥‥愁ちゃんなんか大嫌い!」
走ってる最中も、
愁ちゃんに言われた言葉があたしの胸を締め付けた。
美術室に行く事も忘れて、
あたしは無我夢中で走った‥‥。
聞かなきゃ良かった‥‥。
黄瀬さん達の話も‥‥
愁ちゃんの話も‥‥全部聞かなきゃ良かった。
足を止めて後ろを振り返っても、
愁ちゃんはいなかった。
分かってた事なのに。
「‥‥‥‥痛いよ。」
あたしの右手は、
さっき叩いた微かな感触が残ってた。
「‥‥‥‥愁ちゃんっ。」

