気付いたらあたしは、
教室の扉の前に立っていた。
あたしの存在に気付いた黄瀬さんは、
一度は驚いたけど、すぐ甲高い声で笑いながらあたしに吐き捨てた。
「ごめんなさいね?でも芽生ちゃんだって今まで愁をそうやって扱ってきたんでしょ?」
‥‥違う。あたしは黄瀬さんとは違う。
「あたしに取られて1つ飾りが無くなっただけじゃない。軽いもんよ。」
‥‥‥‥っ‥‥愁ちゃんは飾りなんかじゃない。
あたしはっ‥‥あたしはっ‥‥
「‥‥‥‥っ‥‥あたしは愁ちゃんを飾りだなんて‥‥思った事ない!!!」
今まで誰かに怒鳴ったりした事はなかった。
出来るだけ目立たずに、
いつも自分の気持ちは内に秘めて生きてきたのに、
この時だけは抑えられなかった。
黄瀬さんに対して腹が立つのと、
そんな気持ちで愁ちゃんといたのかと思うと、
愁ちゃんに対する思いが溢れ出して止まらない。
「愁ちゃんはっ‥‥飾りなんかじゃない。人だよ。だからっ‥‥そんな風に愁ちゃんのこと‥‥‥‥っ」
そう言いかけた時‥‥
あたしの横を通るのはいつもいた人の香り。
あたしを軽く手でどかすと、
愁ちゃんは黄瀬さんに、
「俺もお前なんかに最初から相手してねぇよ」
そう吐き捨てた。
黄瀬さん達は口を結んで顔を真っ赤にして、
教室から出て行った。

