ラストボーイ









ポツン。






雨‥‥。あれからどれくらい経っただろ‥‥。



きっと今先生がこっちに向かってる。
礼ちゃんが知らせてくれてるはず‥‥。




だんだん強くなる雨があたしの傷に染みる。

痛い‥‥寒い‥‥苦しい‥‥。






こんな時あたしは愁ちゃんを思い出す。


来てくれる訳ないのに‥‥。





自然と視界がぼやける。

体温が急激に下がったせいか、
あたしはもう座ってるのも限界だった。




このまま目を閉じたら‥‥


そう思い瞼を閉じようとした時、
微かにあたしを呼ぶ声がした。





愁‥‥ちゃん‥‥?



愁ちゃん‥‥‥‥?





僅かな隙間から目を凝らせば、
あたしを助けに来たのは‥‥勇志くんだった。






「芽生ちゃん?!」




ずぶ濡れになった勇志くんは、
怪我した膝にタオルを巻いてあたしをおんぶした。






「もう平気だから。」





だんだん遠のいていく勇志くんの声と、

雨の匂いに紛れた勇志くんの甘い香水の匂い。





愁ちゃんが助けてくれる‥‥



ほんの少しだけ‥‥信じてたの。


だけど来てくれたのは勇志くんで、

分かってた事なのに‥‥。






いつだって助けてくれたのは愁ちゃんなのに。






溢れ出た涙は雨に紛れた。



自然と勇志くんを掴む腕に力が入った。