突き刺さるような夏の日差し。
まだ梅雨も終わらないのに雨も降らない。
梅雨はあんまり好きじゃない。
少しクーラーの効いた教室でノートを開いてみるけれど、一向に進まない。
夢野の部活が終わるのを待つ暇潰しの時間。
誰もいない教室でシャーペンを動かしては止めを繰り返す。
“オーオーオーオーーオ オーオーオオーオオー
打てよ打てよ打てよ打てよ 手強いぞー
行けよ行けよ行けよ行けよ 負けるなよー”
外からはもう少しで始まる高校野球の夏の甲子園予選に向けて、チアと吹部が応援の練習をしてる。
高い声はチア。低いのは野球部のベンチ外の人たち。
「いいなぁ。今からでも入れないかな、吹部。」
音が一体となって身体中を巡る。
暑いけど冷たくて。
苦しいけど楽しくて。
中学で入っていた吹部は少しハードだったから高校では帰宅部。
と言う道を選んだ。
・・・少し後悔してる。
野球応援の練習でさらに気を削がれて、机に突っ伏す。
夢野がくるまで寝るのもいいかもしれない。
どうせあと二時間は待つんだから。