「ちょっとそわそわしてる?」


「うるさいな、沢山保護者がくるからだよ」


「へー?あ、ハンカチは持った?今日は必要でしょ?」



いつもとは違い今日は私が裕也を揶揄う日。

…楽しい。



「あ、第二ボタンは取りやすいようにしておきましたので」


「は?」


「帰ってきたとき無くなってるんでしょう?」


「学生じゃないんだから」



「そう?じゃ気を付けてね」



行ってらっしゃいのキスなんてものは無いが、毎日笑顔で送り出すというのが私の中でのルールになっている。

気持ちよく1日を始めてもらいたいからだ。

それに気づいているのか気づいていないのか、裕也はいつもさらりと直ぐに出て行ってしまう。

ここにも寂しがっている人が居ますよ〜…とは言わないけど。