遥かなる大和にやって来た娘は、ここで本当の運命に出会う事になった。
これは彼女のもつ勾玉の首飾りがもたらした、運命なのかもしれない。

だがこの先、さらなる運命が待ち受けている事を、その時の彼女はまだ知るよしもなかった。




それから6年後。

「大王、大王、しっかりして下さい!」

去来穂別大王(いざほわけのおおきみ)は家臣に囲まれていた。

彼は病に侵されていた。
そしてついに即位から6年目にして、大王は崩御した。


「父、父さま」

皇子の市辺皇子(いちのへのおうじ)は、自分の父親が亡くなった事が分からず、ただただ怯えていた。

皇子はまだ6歳になったばかりだった。

「一体どうすれば、皇子はまだ幼すぎる」


こうして大和で話し合いが行なわれ、次の新たな大王が決められた。



「この度はご即位、誠におめでとうございます」



《瑞歯別大王《みずはわけのおおきみ》》



これが大和王権にとって、初の兄弟継承の始まりである。



 (佐由良......これが俺達の運命だ。)

          END