先輩は私の表情の変化にすぐ気付き、少しだけ戸惑った後に漸く話始めた




「あの日、電話があったんだ。事故に遭う少し前………」



「瞬から?」



「あぁ、多分美鈴を迎えに行った後。美鈴の様子が可笑しいから見ててくれって頼まれた」



その後、瞬は焦った声でこう言った


“俺は七瀬の所に戻らなきゃならない。七瀬、アイツ誤解して俺と別れるとかメール送り付けてきやがった!”




それじゃぁ、あの日瞬はあのメールを見て私の所に戻ろうとしてくれてたって事?


あの最後に送った“別れ”メールを見て


瞬は……ちゃんと約束、守ってくれようとしてたの?



「正直俺は“別れてしまえ”って思ってたよ。
その日が何の日か大分前から瞬に聞かされてたからな。そんな大事な日に女置いて出掛けるなんてふざけんな!って」


「……どうして…」



どうしてそこまで想ってくれるの?



滝沢先輩は私と目が合うと微かに笑みを浮かべた



それはとても儚く、寂しそうに



「七瀬が好きだからだよ」





「―――っ!?」




えっ?
どういう事?
それってどういう意味!?