見慣れた天井に見慣れたベッドの上…


さっきのは夢だったんだ…


あの悪夢の続き………




「七瀬、大丈夫か?」


――ビクッ!


突然額にヒヤリと手が乗せられ驚き肩が揺れた


滝沢先輩は苦笑いで近くにあったタオルで額に浮かぶ汗を拭ってくれた


あまりにも鮮明な夢に手の震えが止まらない


それに気付いた滝沢先輩はそっと私の手の上に自分の手を重ねた



「怖い夢みたか?」



うん
怖い夢だったよ


でも、夢じゃなかった



「滝沢先輩…」

「ん?」


滝沢先輩は私の手を握っていない空いた方の手で髪を静かに撫でる


その優しい仕種で一瞬この人の恋人にでもなったかの様な錯覚に陥る


「私が“誤解”してるってどうゆう意味ですか?」



さっきの説明だと、瞬はプロポーズをしようとしていた、ってだけで最後に美鈴先輩を選んだって事を否定出来ない




もう、楽になりたい


全てを解放したい


瞬を愛した証がこの痛みならば全部受け止めるから


そしてこれから先の人生、瞬だけを愛して生きていくから



だから、私を許して―――…