「お前はまだ生きている!やれることを今やりなさい」


妻の真奈美がさっきまで「キャーッ‼」とか「ギャーッ‼」とか「やだん!セクハラ」などと騒ぎながら電話していたかと思うと

突然、落ち着き払った様子で上記のようなセリフを吐いて電話をきった…。



リビングで大声で電話をしていたのは真奈美のほうだが…

ここで「何かあったの?」と聞くと「盗み聞きしやがったな?」と睨みつけられるのがオチなので

彼女が電話をきるとすぐに、可愛いベビーちゃんをあやしていたフリをしていた。



ところが…

今日の真奈美はいつもと違って…

上機嫌に振り返り、俺の隣りに座る。


「ねえねえ、明日ね果穂は自分で電話もできないほどの高熱でお休みだって、新しい上司に伝えておいてよ」


「はっ…?」


電話の相手が果穂だったのは薄々、気付いてはいたが…

それがずる休みであることは真奈美の様子を見て分かる。


果穂が…あの果穂が…


ずる休みっ⁈