魔法使いの一日



アルベルト君の言葉に思い当たる節があるのか、ソラはハッと目を見開いた。


「違う、アル! あれは…――」

「黙れっ!!!」


ソラの言葉を、アルベルト君は倉庫内に響き渡るくらいの大声をあげ遮断した。


「裏切った奴が……俺とシュリルを裏切った奴が、気やすくその名前で呼ぶな!!」


シュリル?どちら様で?と一瞬疑問を持ったけど、そんなの気にしてる暇なんてない。明らかに殺意が倍増したアルベルト君に、すくみそうになりながらもぐっと堪える。


「まあいいさ、どうせお前も、この人間もろとも死ぬんだからな…。さーて、どっちを先に始末するかな? まずは……動ける事が不可能な人間にしようか?」

「っ! 止めろ!!」


ナイフの切っ先を私の喉元に突き立てたアルベルト君を見たソラは、焦りを含んだ声色で制止をかける。それにアルベルト君は、楽しそうに口元を歪ませた。


「フフッ……なあ、今なら分かるだろ? あの時の俺の気持ちが…助けたくても、助けられなかった、あの時の!!」


なんかもう…コイツダメだな、いろんな意味で。と、そんなアルベルト君を見ていて思った。私はふう、とため息を吐く。


「もういいか、御託がすぎたし。じゃあな人間、精々あの世で幸せに暮らせると…」


アルベルト君はナイフを振り上げ、


「いいなっ!!」


勢いよく、振り下ろしてきた。


「亜梨珠っ!!!」