魔法使いの一日



ジトーッ、とアルベルト君を睨み付けていると、その視線に気付いたのかこちらを向く。
するとその視線の意味が分かったのか、ああ…と言葉を洩らした。


「そっか、あの名前は君がつけたんだ。さすが人間、センスの欠片もないな」


………殴っていいですか?


体が動けば今すぐにでも殴り飛ばしてやりたいのに、それができないのがもどかしくてしょうがない。


「とにかく亜梨珠を解放しろ、話はその後だ」

「解放……ね。俺的にはコイツなんて殺す価値もないと思うんだけど、生憎ヴァルボーネ様の命だからさ。そうもいかない。分かるだろ? お前が守ってきた掟はもう消えたんだ。そしてそれを守り、管理する者……それが掟と共に消えた今、誰が掟を作り管理する? そんなのは決まってる、王であるヴァルボーネ様さ」


延々と語るアルベルト君だけど、話の内容がよく分からない。


ソラが掟を守ってきた? なんじゃそりゃ。


それを聞いていたソラは悲しそうな表情を見せ、


「アル……何故だ…どうしてお前は……」

「何故、か……それはお前が一番よく分かってるんじゃないのか?」


と、アルベルト君は憎悪の籠もった目でソラを睨み付けた。その今までと違う雰囲気に背筋に悪寒が走った。