私は突然現れた中年のおっさんを怪しい目で見る。それもそうだろう。
何処からともなく現れるし、そのおっさんの格好。何か、映画か何かに出てくる王様の格好をしているのだ。そのわりには王冠を被ってないけど。
まぁ兎に角、滅茶苦茶怪しい。
「誰あのおっさん。少年の知り合い?」
「まぁ、知り合いって言えば知り合いかな」
少年はとてつもなく嫌な顔をしながら言った。
「こいつだよ。俺達に隕石擬きをプレゼントしてくれたのは」
プレゼントと言う言葉を強調して、皮肉たっぷりに言う少年。だが私はそんなことよりも、さっき言った少年の言葉が気になった。
「ねぇ少年。あのおっさんが私達に向けて隕石擬きを降らせたの?」
「は?」
少年は一回で聞き取れなかったのか、それとも他に何か理由があったのか、間の抜けた声をあげた。
「だーかーらー。あの糞爺ぃが隕石擬きを降らせたのかって聞いてるの!」
「あっあぁ。そうだけど……」
私が中年の男の呼び方をおっさんから糞爺ぃに言い換えたら、少年は心なしか顔が青ざめた……。気のせいでしょ。
「ふぅ〜ん、あの糞爺ぃがかぁ〜」
その言葉を吐くと、少年は一気に血の気が引いたように顔を青ざめた。
私は立ち上がるとおっさん、基糞爺ぃに向かって歩き出した。少年が後ろで何かを言ったような気がしたけど、全然耳に入っていなかった。
そして糞爺ぃの目の前に行くと、そいつは不思議そうな顔をした。
「何だお前。邪魔だ、そこを退け」
この一言で、私の中で怒りを押さえていた何かが音をたてて切れた。
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