魔法使いの一日

「それでは、コレを壊してここから出ますですか」


ミリンが取り出したのは、結界を発動させてるというあの装置だった。


「でもお前、そんなものどっから持ち出してきたんだ?」

「お城の中を散策してたら、物置みたいなところで見つけたんですよ。どーせ耄碌爺に言っても持ち出し禁止って言われるのがオチだと思ったので黙ってもってきたのです」

「物置…? たぶん魔法道具の倉庫だと思うけど……他にも何かあったか?」

「はい、何だかガラクタが沢山あったですよ。その中でこれが一際目立ってましたですからもってきたのです」

「……お前、あから様に怪しいだろそれ」

「耄碌爺のやることは皆怪しいのです」


ミリンはあの爺の事が嫌いなんだろうか。いや、明らかにあの爺を好きな奴っていないだろうけど…現に私もその一人だし。


「それにしたって怪しすぎだろ。そもそも魔法道具がある倉庫は、普段鍵が掛かってて開かない筈なんだが…」

「そうなんですか?」


ミリンはキョトンと首を傾げた。その時だった。


バチンッ!


「っ!?」


突然ミリンがもっている装置から静電気みたいな電気が走り、ミリンは思わず装置を手放した。しかし装置は地面に落ちることは無く、フワフワと宙に浮いている。そして、宙を彷徨いながら私達から数メートル離れた。