魔法使いの一日

「ミリン…」

「はい、私の完敗です! この結界の中にあの2人のうちのどちらかが入った時点で、私の負けは決まったいましたから! あーでも悔しいのです! やっぱり体術だけではだめですね~~」

「お前…随分潔いな」


ソラの言葉にミリンはニコッと笑う。


「自分の未熟さを認めることは強くなるための第一歩だと思うのです。そもそも、自分の失態で逆ギレするような器の小さい人間ではありませんよ、私は」


なんか、もの凄いいい子だよこの子。若干感心していると、ミリンがこっちに近づいてきて私に頭を下げた。


「亜梨珠さんもすみません。冷静になってよく考えてみたら、やっぱりこんな方法は間違ってますですよね、お怪我はありませんか?」

「えっ…? うん、大丈夫だよ?」


冷静になるのが遅すぎだろと心の奥で思ったが、それよりも素直に心配してくれたミリンの良心に感化され、笑みを浮かべながら答えた。


「もしかしたら、突然ひょこっと出てくるかもしれませんですもんね。ですから、気長に待ってみるのです」

「いや、待たなくて良いよ、うん」


今だ誤解してるミリンを説得しようと思ったけど、やめた。どうせ待ってないもんはないんだからいずれ分かるでしょ。そう自己解決をした。