魔法使いの一日

「そんな…いくら魔力が高い魔法使いでも、この結界を破る事は出来るはずが……」

「ないって? 出来たんだからしょうがないだろ?」


アル君の言葉に、ミリンはそちらに顔を向ける。


「確かにこの結界は強力だよ、いくら魔力の高いソラでも破壊するのは無理。俺なんてもっての他」


でも…と、アル君は続ける。


「いくら強力な結界でも、魔力を一点に集中させて破壊すれば……」

「! すべて破壊する事は困難でも、一部分だけは破壊できる…ですか?」

「正解♪ といっても、ソラが壊した部分の結界はすぐに修復されちゃったけどね」


アル君はソラが空けたと思われる結界へ触れる。


「でも…破壊するにしても、魔力を煉らなければならないはず…それに私が気付かないはずが…!」

「確かに普通なら気付くよ? 君普通よりちょっと魔力が少ないみたいだけど、そのくらいはね。だから君と話をして君の注意を俺にひき付けておいて、ソラは魔力を煉るのに集中。更にそれもばれない様にソラに結界をかけておいたってわけ」


俺結界系の魔法得意だから、とアル君は得意げに言った。


「っ……やっぱり私はまだまだ未熟ですね、全然気付かなかったのです」


そう言いながら、ミリンは悔しそうに笑った。