魔法使いの一日

「なんだ、案外脆いじゃねーか」


砂埃に隠れて見えない誰かがそう口にする。って、この声……


「ただし…」


アル君の言葉と共に、段々と砂埃が晴れていきそれが誰だかはっきりする。


「ソラがいるとき限定だけどね♪」


視界が晴れ、目の前にいたのは、紛れも無く…


「ソラ……」

「亜梨珠、大丈夫か?」


ソラはしゃがみ込んでる私に手を差し伸べる。戸惑いつつもその手に掴まろうとした瞬間、


「ったく、俺の言った事に素直に応じないからこんな事になったんだぞ」


ソラは自業自得だと言わんばかりの表情でそんな事を言ったきた。その言葉で差し出そうとした手はピタリと止まり、私は表情を固まらせた。そしてソラが言ったことを理解すると、なんとも言えない苛立ちがこみ上げてきた。


「なっ……なにその言い草!! しょうがないじゃん!! こうなるなんて誰も思わないし、仮にピンチになっても私一人で何とかなると思ったんだもん!!」

「何意地張ってんだ!! だいたい今ピンチだってのに自分で何とかできてねーじゃねぇか!! 俺達が来なかったらお前今頃そこらへんに転がってる木と同じ運命辿ってたんだぞ!!」

「うっさいバカー!!! 何だよせっかく素直にお礼を言おうと思ったのにさー!!」

「は? 言えば良いだろ?」

「空気読めよ!! お前が言えなくしたんだろーが!!!」


ギャーギャーと言い争いをしている中、ミリンは私達を唖然と見つめていた。