魔法使いの一日

「逃げないでちゃんと戦ってくださいー!」

「どー考えても無理だろこれは―――っ!!」


啖呵を切ったまではよかった。でも実際は上手くいかないものである。そして自分の技量を考えろ、と考えさせられた。


今公園はとてつもなく大惨事になっていた。木は何本かボッキリと折れ、地面にはこれまた何個かクレーターがあいている。


これ全部ミリンの仕業。しかも魔法とかではなく、素手でこの有様。


こう言っちゃあれなんだろうけど、化け物だろコレ。


本人曰く、ミリンは普通の魔法使いよりは魔力が少ないらしく、ぶっちゃけ魔法が苦手らしい。そんなミリンが見つけた戦闘方法が格闘。色々と研究し、拳や足に魔力を集中させる事で、普段の威力よりも何倍もある攻撃を繰り出したり、早く移動(さっき見せた瞬間移動はそれ)したりなどが出来るようになったらしい。


確かに凄い事だし、ミリンだって努力したのだろう。しかし、こんな事話したからと言って私も同じことが出来る、なんて馬鹿な事は起きるわけがない。どの道、私にしてはどういう形であれ魔法と一緒。しかも、仮にも素手で地面にクレーター作っちゃう相手に、私が勝てるなんて事自体ありえないから。


てか私、自分から粉砕されてくるね、ってさっきの啖呵で言っちゃったようなもんだよね。アハハ、数分前の自分をぶん殴ってやりたい。