魔法使いの一日

「とにかく、十分に気をつけること。特に亜梨珠、君は普通の人間なんだから。素手で魔法使いに勝とうって考えがあるんだったら、まず捨てたほうがいいよ」

「大丈夫、そんな考え最初から持ってないから」

「そうだったのか? てっきりその暴力的な所を生かして追い返すかと――」


バキッ!!


「ぶふッ!!」


私は裏拳でソラの右頬を殴りつけ、拳を抱えたまま睨み付ける。


「誰が暴力的だって?」

「何か……お前の攻撃段々種類が増えてきてないか…?」

「あはは…本当に亜梨珠なら追い返せるような気がしてきたけど、とにかくこれからは一人歩きはしない事。どーしても出掛けたいならソラを一緒に連れて行く事、いい?」


アル君の言葉に、あからさまに嫌な顔を見せる私。


「そこまで露骨に嫌がられると、さすがの俺も傷付くんだけど」

「だってあんたつれて買い物とかに行っても、きっとあんたおばちゃん達に吹っ飛ばされて可哀相な思いするだけだもん」

「それ気遣ってんのか? それとも貶してんのか?」


それはあんたの捉え方次第って事で。