*完結* 星野と高瀬のばあい

「一回、こっからひさしのとこに出てみたくなかった?」

「ぜんぜん」

抵抗するも、今回ばかりは高瀬に主導権がありそうだ。


「誰かに見つかったら怒られるよ」

「ほとんど人来ないから、だいじょうぶだよ。
タバコふかしてるわけじゃないし。見つかっても口頭注意くらいだろ」

「まぁ、そうかもしれないけど・・・」


カシャン、と高瀬が窓のクレセント錠を外す。
この場所にある窓が、はめ込みでないのが不思議だ。あるいはひさしは、後から増設されたものなのかもしれない。


人が出入りすることなど、想定していない窓だ。
事故を防ぐためなのか、窓枠の中央あたりに、パイプが渡してある。

高瀬はカバンを投げ入れると、パイプに手をかけた。
逆上がりの要領で下をくぐり、あっさり向こう側にすべり出る。