膝に置いたカバンの上に投げだした手に、重なるものがあった。
そのまましっかり握りこまれる。
手のひらは、厚く硬い。自分とは違う、男の手だ。
「———なあ、このまま終点までいってみない」
ささやく高瀬の声。
いつのまに、そんなに低い声を出すようになったんだ。
今まで何度も、手をふりはらって「ヤダ」と、にべもなく言い捨ててきたのに。
「・・・どこにも行けないよ」
胸がいじめに遭っているように、苦しい。
この手をふりほどいたら、高瀬はもう二度と自分を求めてくれない————
そんな気がして。
そのまましっかり握りこまれる。
手のひらは、厚く硬い。自分とは違う、男の手だ。
「———なあ、このまま終点までいってみない」
ささやく高瀬の声。
いつのまに、そんなに低い声を出すようになったんだ。
今まで何度も、手をふりはらって「ヤダ」と、にべもなく言い捨ててきたのに。
「・・・どこにも行けないよ」
胸がいじめに遭っているように、苦しい。
この手をふりほどいたら、高瀬はもう二度と自分を求めてくれない————
そんな気がして。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)