*完結* 星野と高瀬のばあい

膝に置いたカバンの上に投げだした手に、重なるものがあった。
そのまましっかり握りこまれる。

手のひらは、厚く硬い。自分とは違う、男の手だ。


「———なあ、このまま終点までいってみない」


ささやく高瀬の声。
いつのまに、そんなに低い声を出すようになったんだ。

今まで何度も、手をふりはらって「ヤダ」と、にべもなく言い捨ててきたのに。


「・・・どこにも行けないよ」


胸がいじめに遭っているように、苦しい。

この手をふりほどいたら、高瀬はもう二度と自分を求めてくれない————
そんな気がして。