*完結* 星野と高瀬のばあい

「なるほどねー」
小銭を拾う。そんな単純作業も、視力があらばこそ、なのか。


「いいセンいってるっしょ」


駅に止まり、何人かが降りる。近くの座席が空いた。

「座んない?」


高瀬にうながされて、並んで腰をおろす。


「その拾った小銭って、どうしたの?」

「べつに、そのまんまネコババ」

「まあ、そうだよね」

自分だってそうするだろう。73円ぽっち。


ゴトンゴトンという電車の単調な走行音と振動。
窓の外を景色が流れ、たわんだ電線が上がったり下がったりをくり返す。
傾いた陽が、町並みをオレンジ色に染めている。