*完結* 星野と高瀬のばあい

「だってさー、小銭が六枚も落ちてるって、どういうシチュエーション?
落とした人は気づかなかったのか、気づいて拾わなかったのか。

いや、ぜったい気づくだろ。小銭落とすと、けっこう音がするもん。チャリーン、って。
夜道で73円拾って、悩んじったよ」


「それで、謎がとけたの?」


「たぶん、だけど。その何日か後、またレンタルショップに行ったんだ。
まだ明るい時間帯に。チャリ走らせて、小銭拾ったあたりを通って気づいたんだけど。
そこ、鍼灸院の前だったんだ」


「しんきゅういん・・」
漢字が出てこない。


「鍼打ってくれるところ。鍼灸師さんて、目の見えない人が多いらしいよ。
ひょっとして、あの小銭を落とした人は、目が見えなかったんじゃないかなって。
だから、落としたことに気づいても、散らばった小銭を拾い集めることができなかった。

他に人がいれば、拾ってもらえたかもしれないけど。
俺が通ったのって、遅い時間だったから。
営業終わって店を閉めて、鍵でも取り出そうとして、ポケットの小銭が・・・とか
そういうことだったんじゃないかな」