「君たちは、もう高校三年生だ」

大平はくり返した。
そう強調せずとも、よっく知っていますとも。


「この一年の努力が、今後の人生を大きく左右することにもなりえる」


さようでございますか。

視線だけは大平にむけながら、焦点は眼前にすえる。
ただのにじんだ風景と化した、大平と教壇と黒板。


耳が拾う音声を、ところどころ意識に通しながら、

釜ゆで、いやバケツゆでか、にされたカエルに思いをはせる。

自分にできる反抗など、しょせんこの程度だ。