「君たちは、もう高校三年生だ」
大平はくり返した。
そう強調せずとも、よっく知っていますとも。
「この一年の努力が、今後の人生を大きく左右することにもなりえる」
さようでございますか。
視線だけは大平にむけながら、焦点は眼前にすえる。
ただのにじんだ風景と化した、大平と教壇と黒板。
耳が拾う音声を、ところどころ意識に通しながら、
釜ゆで、いやバケツゆでか、にされたカエルに思いをはせる。
自分にできる反抗など、しょせんこの程度だ。
大平はくり返した。
そう強調せずとも、よっく知っていますとも。
「この一年の努力が、今後の人生を大きく左右することにもなりえる」
さようでございますか。
視線だけは大平にむけながら、焦点は眼前にすえる。
ただのにじんだ風景と化した、大平と教壇と黒板。
耳が拾う音声を、ところどころ意識に通しながら、
釜ゆで、いやバケツゆでか、にされたカエルに思いをはせる。
自分にできる反抗など、しょせんこの程度だ。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)