*完結* 星野と高瀬のばあい

ごめん、とつぶやく。


「ごめん、じゃなくってさー・・」
海に視線を向ける高瀬。口調はさりげないが、瞳の色は深い。


ぽふ、と隣の高瀬の肩に、頭をのっける。
やっぱり言葉が出てこない。言葉にならないじれったさを、その想いを、高瀬のからだにあずける。どこまでも、彼に甘えている。


すこし間があって、高瀬も首をかたむけて、やさしく頭をもたせかけてくる。


母親は、今日も汀を連れて買い物に行っている。
つまり、母親と不倫の関係を続けているらしい、マネージャー氏。
彼への憎しみから、策略をめぐらせて窓際へ追いやって、人にいえない罪を抱えている202高地。
母親を許せない自分と。
そんな自分に、潮のごとく365日変わらず思いを寄せてくれる少年と。


そんな60億人分のこんぐらがった思いを乗せて自転しているわけだから、地球も大変だ。さぞかし重たいことだろう。


ああそうか、だから。だから、人はお互いもたれ合うのかもしれない。


サングラスを外して、軽くまぶたを閉じてみる。



彼がキスしやすいように————







                               【了】