眺めなさいといわんばかりの、鮮やかな夕陽。
西の空は、茜色に染まっている。見上げる中天は、まだ青さを残している。
さらに首をかたむけると、青みを増した空は、藍色から夜の色へと濃さを深めつつある。
それが、悲しい。
じきに夜に侵食されてしまうと分かっているのに、まだ青さを残す空が。
いやおうなくその場を明け渡さなければならない青。青が、ちぎれる。
茹でガエルやニホンタンポポと同じくらい悲しいと、しおさには映る。
「きれいだな」
夕陽を見つめる高瀬の声に、くもりはない。
「あたしは悲しいかな。見てて苦しくなるっていうか。夕暮れって、だんだん夜が迫ってきて、押し出されるみたいで」
「俺は、バトンタッチだと思う。昼から夜に、太陽から月に、みたいな」
そんなふうに考えられるといいのに。高瀬と自分は、どこまでも違う。
西の空は、茜色に染まっている。見上げる中天は、まだ青さを残している。
さらに首をかたむけると、青みを増した空は、藍色から夜の色へと濃さを深めつつある。
それが、悲しい。
じきに夜に侵食されてしまうと分かっているのに、まだ青さを残す空が。
いやおうなくその場を明け渡さなければならない青。青が、ちぎれる。
茹でガエルやニホンタンポポと同じくらい悲しいと、しおさには映る。
「きれいだな」
夕陽を見つめる高瀬の声に、くもりはない。
「あたしは悲しいかな。見てて苦しくなるっていうか。夕暮れって、だんだん夜が迫ってきて、押し出されるみたいで」
「俺は、バトンタッチだと思う。昼から夜に、太陽から月に、みたいな」
そんなふうに考えられるといいのに。高瀬と自分は、どこまでも違う。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)