*完結* 星野と高瀬のばあい

人の少ないその場所で、カニと稚貝を海に帰した。

髪をかきあげると、指に重くからまる。くちびるを舐めると、舌先に塩気を感じた。
やっぱりここは海だ。大きなプールじゃない。


ぶらぶらと歩いて、浜から遊歩道にあがる。すこしゆくと広い水場が見えた。

低い位置にある蛇口で、手と足を洗う。隣の蛇口では、大型犬が長い舌を出して、嬉しそうに流れる水を飲んでいる。

そばにあるベンチに腰かけ、タオルで軽く体をふいた。
ふきおわったタオルを、高瀬がひょいと取り上げて、ビニール袋に突っ込み自分のリュックに入れる。

至れり尽くせりである。


貝と海水入りのペットボトルが詰まって重くなったリュックを、かたわらに置く。

「なんか飲む?」
自販機に目を向けて、高瀬が問う。

「んー、あたしはいいや。のど乾いてないから」

そっか、と高瀬がつぶやく。

「夕陽だー」


遊歩道に設けられたベンチからは、水平線がよく見渡せる。どこまでもよくできている海浜公園だ。