*完結* 星野と高瀬のばあい

「うおっ、なにあれ、すごくねえ?」

高瀬の見つめる先に視線を転じれば、黒っぽい小山があった。


近寄ってみると、ハマグリくらいの大きさの貝が、無造作に積み上げられている。
そのそばに海水パンツにTシャツの少年が、砂に腰をおろしている。

「兄ちゃんが獲ったんだ」と人懐っこく笑う。

「兄ちゃん、すげーな! どうやって獲んの?」

「素潜り。あ、また上がってきたよ」

ウェットスーツ姿の青年が、手から網の袋をさげてこちらへ歩いてくる。
濡れた長めの髪が、首すじにはりついている。網の中には、同じ貝がぎっしり詰まっているのが見てとれる。


「すごいっすねえ、どうやって獲るんですか?」
高瀬が感嘆の口調でしゃべりかける。

「足の裏で海底をさぐると、触れるんです。たくさんいますよ」

「なんていう貝なんすか、これ。でっけー」


「ホンビノスガイっていうんです。通称大アサリって呼ばれてて。
ハマグリみたいに食べられますよ」