*完結* 星野と高瀬のばあい

カニいた、という高瀬のはずんだ声に、そちらに向かえば、得意げにバケツを突き出してきた。

指の先ほどの茶色いカニが、バケツの底でうごめいている。

「さすがに食えないだろうから、あとで逃がしてやんないとな」

「とりあえずカニゲットだね、いいなー」


しゃがんでいるのに疲れると、立ち上がって波打ちぎわをぶらぶら歩く。
海水は意外なほど澄んでいて、ふくらはぎのあたりを波があらう感触がこそばゆい。

おだやかな波の下の砂地がよく見える。

まさかこんな浅瀬に魚はいないだろう。いても捕まえられないけど。

———、

なにか視界に動くものをとらえた。波に転がされる小石とは異なる、生き物の移動。