*完結* 星野と高瀬のばあい

高瀬と同じ駅で降りる。

私鉄沿線にひっそりとたたずむ住宅街。中低層のマンションと、一戸建てが混在している。

二人ともが育った場所だ。

同じ最寄り駅、同じ町内、番地がすこし違う。


いつもの「ネギシ薬局」の角で、「じゃあ」「またあした」と別れる。

家への道を一人たどる。


木造モルタル二階建て。ドラえもんの、のび太が住んでいる家をイメージしてもらうと分かりやすい。
庭は、洗濯物が干せるほど広くないけど。

築は、はて何十年だろう。母の両親、つまり自分にとっての祖父母の代から住んでいるから、
まあかなり年季は入っている。


【星野】の木の表札は黒ずみ、よくよく目をこらさなければ、読みとれない。

鞄から鍵をとりだし、ドアをあける。