いつもと変わらない町
いつもと変わらない空


空気には冷たい冬の匂いが混ざっている



綺麗な空…もうすぐ冬が終わるんだ
そしたら暖かい春が来る
桜が舞い散るあの春が…


今は2月の終わり
あれだけ降っていた雪も今じゃ寂しそうに降っている



桜「もう直ぐ春だね、蓮(れん)?」



蓮「……………」



私は周りを確認し、静かに返した


蓮「…街中でいきなり話しかけるのはまずいでしょ?桜お姉ちゃん?」



桜「だって蓮と喋りたいんだもん
蓮しか喋る相手いないしさ」



蓮「仕方ないよ
私以外に桜の事はみえないんだから」



そう私の姉の桜は幽霊です



桜「もう2年くらい経つのにやっぱり幽霊って変な感じよね」



―――桜が幽霊になったのには理由がある



あれは2年前の春、桜が散り始めた日だった


その日は休日で私と桜は2人で出掛た帰りだった



蓮「ケーキ美味しかったね!
やっぱりあそこのカフェ大正解!」



桜「蓮前から行きたいって言ってたもんね
また行こうね」



蓮「うん♪」



桜「そろそろ帰ろうか」



私達はいつもと変わらない家路を2人並んで歩いていた