「ごめん」

 くすくす肩を震わせていたシェイスが、うっすら浮かんだ涙を拭って首を振った。

「ありがとう。

 あたしみたいな蛮族の女にそういうこと云ってくれるのは、心底有難いわ。

 でもね、いまはなにひとつ答えられやしない。

 あたし、先約があるの。

 別のお誘いの答えを待たせているの。

 それを答えなきゃ、なにひとつ先のことなんて考えられないのよ」