青蒼の夜半に、闇色の鳥を

「お前、か……」

 彼女はラザーの名前を呼ばない。

 冷たく突き放すように、お前、と呼び捨てる。

 ――それは、いつものこと。

 お前、と呼び、なぜ、と口にしないままで、インシアはラザーに問い掛ける。

 答えを求めるための問いではない。

 むしろ、苛立たしげに彼を糾弾する響き。

 もどかしげに、彼女の整えられた爪が窓の枠石を掻く。