青蒼の夜半に、闇色の鳥を

「インシア・サリエ……様」

 低く、僅かに掠れた声で、ラザーは彼女の名前を呼ぶ。

 今度こそ、彼女の目がラザーの眸に重なる。

 とりわけ、潰れた右の眸に。

 長い睫毛に縁取られた眸が眇められる。

 だがそれも一瞬だけ。

 すぐに視線を逸らされ、窓の外に投げ落とされる。