青蒼の夜半に、闇色の鳥を

 彼女が王に嫁いできたのは、丁度一六年前。

 『巫女姫動乱』によって弱体化した神殿から、エリア・ファーレリアに買われて来たアッバース女神の巫女。

 巫女姫ほどの神威はなくとも、運命を司る女神の姫君がそこにいる。

 子を産み落とした女でありながら丸みのない、若木のように華奢な肢体。

 血肉が透けるほど薄い肌をしているくせに、透かした血肉の生臭さの欠けた四肢。

 細い肩を滑り落ちるのは、薄灰色の髪。

 どこを見ているのかわからない薄灰色の双眸が、ゆらり、ラザーの上を摺り抜けた。