青蒼の夜半に、闇色の鳥を

「男前が台無しだよ、ばあか」

「余計なお世話だ!」

 腹部を狙って繰り出された拳を、アギは片手で受け止めて捻り上げようとする。

 荒い息遣いも、汗ばんだ肌も、近付く。

 狙いすましたように、シェイスの耳に、低いアギの声が忍び込む。

「せめて話をしていけ、この莫迦が。

 黙ったまま出て行かれると、心配、するだろうが」

 怒りを通り越し、懇願めいた口調でアギが囁く。

 至近距離から覗く眸だけ、一族の者特有の漆黒だった。